日本人の歯科診療に当って想うのは、虫歯や歯周病が相当悪くなって、受診する人が多いと言うことです。
かなり痛みがひどくならないと歯科に行かないと言うのが一般的と言えましょう。
こうしたことで日本人成人の歯の残象率は、アメリカやヨーロッパと比較して相当低いと言われています。
これは、先進国の中でも、日本人の虫歯の羅漢率が高いと言うデータからも解ります。特に最近は、65歳以上の高齢者に虫歯や歯周病が急増しています。
まず大切な事は痛くなる前に受診すると言うことが重要です。
長い間日本の虫歯治療は、穴の修復が主体でしたが、最近になって、原因を徹底的に追求し、その根を断つことや、進行を抑えたりする管理の考え方が、急速に広まっています。
虫歯の治療法は、虫歯の進行度によって大きく変わってきます。
虫歯の進行度は、C0 ~C4 まであり、段階によって、治療法が変わります。
それを知ることで、いかに虫歯が怖いか知る事が出来ましょう。
この段階ごとにそれぞれ治療法も異なってきます。
そこでC0 ~C4 の進行度ごとに、その主な症状と治療法を探ってみましょう。
[ C0の場合]
この段階の場合、一口で言いますと「要観察歯」つまり虫歯になりかけている歯ということです。
穴は開いてなく「表層下脱灰」の状態なので、痛みなどの自覚症状はありません。
基本的には、正しい歯磨きなどのケアと、生活習慣の改善などで、元通りになる可能性が高い状態と言えましょう。
歯科衛生士に相談し、フッ素を使った歯磨きをするとか、歯科医院でのフッ素塗布なども効果的です。
要はこの段階では、虫歯の予防の意味あいが濃く、自分に合った適切な処置が求められます。
「C1の場合」
この段階では、歯の表面に艶が亡くなり、薄い茶褐色になる場合が多いのが特徴です。これを放置しますとどんどん進行します。
削って詰めるかかぶせ物の必要があります。
「C2の場合」
穴が開き、見た目にもはっきり分かるようになります。
これまで茶褐色だった歯が、黒っぽく見えるようになります。
そして冷たいもの、熱い物、酸っぱい物がしみるようになるのもこの段階の特徴です。これは、象牙質にまだ知覚があるので起こる現象です。
治療法は、虫歯の部分だけを削って、コンポジットなどの詰め物か、かぶせ物をします。
「C3の場合」
穴も大きくなり、指すような痛みが伴います。
また膿が出る場合もあり、歯が割れるようなときもあります。
つまり歯髄炎を起こした状態が続きます。
治療法としましては、冠をかぶせられる状態にないときは、残った歯の根に芯を立て、その上に冠をかぶせることになります。
症状は、歯髄がどのくらい侵されているかで大きく異なるでしょう。
初めのうちは、熱い物がしみたりしますが、その痛みがなくなります。それは歯髄が死んだことを意味します。
その場合は、汚染物を取り除く、根管治療が必要となります。
まだ歯髄が生きている状態であっても、回復する見込みがない場合は、除去する必要があるでしょう。
「C4の場合」
この段階では、膿が出て、口臭が強くなります。
物が噛めなくなるほど痛く、あごや頬、歯茎、リンパ腺が腫れてきます。
ここまで進行すると症状がなく、歯冠部が壊れて根だけが残っている状態です。
この段階の症状では、歯を残すことは、ほぼ不可能と言えましょう。
根の先に膿がたまると、あごが腫れて、突然激痛に襲われます。
そうなると、歯槽骨や顎骨の手術が必要になってきます。
治療で対応できない場合は、抜歯するより方法がない状態です。
歯髄にある虫歯菌が他の組織に達し、各種の病気を引き起こすことも警戒しなければなりません。
こうした分類は、虫歯の深さで判断することですので、見ればすぐ外観からでもわかりますので、治療を適切に、それも早めにすることが肝心です!