2023.04.19
歯周病
歯周病の症状としては、歯ぐきの出血や歯磨き時の痛みなどがありますが、はじめからこのような症状が現れるわけではありません。
むしろ痛みを自覚できるようになったときには病状がかなり進行しており、外科手術が必要になるケースもあります。
そのため、セルフチェックや定期的な検診によって早期発見に努めることが大切です。
この記事では、歯周病の症状の特徴、治療や予防の方法、歯周病に関する疑問と回答について解説します。
Contents
歯周病とは、細菌の感染によって、口腔内に炎症を起こす疾患です。
初期の症状は、歯肉が炎症を起こすだけですが、より症状が進むと歯を支える骨が溶けてしまいます。
進行につれて膿や歯のぐらつきなどの症状が現れ、最終的には歯を抜かないといけなくなります。
また、日本人では30歳以上のおよそ80%が発症しているともいわれており、国民病といっても過言ではありません。
歯周病の原因は、歯と歯肉の境目がきちんと掃除できていないことにより、歯垢や歯石が溜まって口腔内の細菌が増えるためです。
歯垢は、細菌が糖分をもとに粘着力が強い多糖類をつくったものであり、歯垢が石灰化すると歯石になります。
前述のとおり、歯垢や歯石は歯周病の原因になりますが、具体的にはどんな方が歯周病になりやすい人の特徴としては、以下のような条件があげられます。
歯周病は、日本人の約8割がなっている病です。
そのため、自分も歯周病なのではないかと心配な方も多いのではないでしょうか。
そこで以下の項目をもとに、セルフチェックをしてみましょう。
上記の項目に当てはまる方は、歯周病のリスクが高いため、一度歯医者を受診してみることをおすすめします。
歯周病の症状は、進行度によって変化します。
歯周病の進行度ごとに症状の特徴をまとめると、以下のようになります。
進行度 | 歯や歯ぐきの見た目 | 歯と歯の隙間 |
健康な歯 | 歯ぐきが薄いピンク色で引き締まっている | 2mm未満 |
初期の歯肉炎 | 歯ぐきが赤みを帯びてぶよぶよしている | 2~3mm |
軽度の歯周炎 | 歯ぐきから赤みを帯びて、ブラッシング時に出血する | 3~5mm |
中度の歯周炎 | 歯がすこしぐらつき、ものが噛みにくい | 4~7mm |
重度の歯周炎 | 歯が大きくぐらついている | 6mm以上 |
健康的な状態の歯は、歯周組織によってしっかりと歯が支えられており、歯ぐきが健康的なピンク色をしています。
歯と歯の間には歯肉が密着しているため、ほとんど隙間がありません。
歯垢がたまった状態を放置すると、歯垢に含まれる細菌によって、歯ぐきに炎症が起こります。
また、初期の段階では痛みはあまりありませんが、歯磨きの際に出血することもあるでしょう。
歯肉炎の段階からさらに歯垢がたまり、歯ぐきの炎症が悪化している状態です。
また、歯周病を引き起こす細菌が歯周組織に侵入するため、歯を支える骨や、骨と歯の間でクッションの役目をしている歯根膜も破壊され始めます。
歯ぐきの炎症が拡大した結果、歯周ポケットが深くなってしまった状態です。
歯を支える歯槽骨の半分ほどが破壊されており、歯がぐらついているため、咀嚼しにくくなります。
また、歯ぐきからの出血だけでなく、歯と歯ぐきの隙間から膿が出たり、口臭がきつくなったりします。
歯を支える歯槽骨が半分以上破壊され、歯が完全にぐらついている状態です。
深くなった歯周ポケットに膿がたまり、強い痛みを感じます。
また、重度の歯周炎になると、自然と歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病の影響は、口腔内だけでなく、全身に及ぶケースもあります。
理由は、歯周病の細菌や炎症の原因となる物質が毛細血管を通して、身体中に送られてしまうためです。
具体的には、以下のような疾患を引き起こすリスクを高めます。
次に、歯周病の治療法について解説します。
歯周基本治療とは、歯周病の原因である歯垢や歯石の除去、歯の根の面の滑択化、ぐらぐらする歯のかみ合わせの調整などをする治療です。
歯周病のフェーズに関わらず用いられる治療法であり、予防治療としての効果もあります。
歯周外科治療とは、基本治療で対応できない部分についての外科治療です。
歯周外科治療では、主に歯周ポケットが深くなってしまった部位を修復します。
治療法には大きく分けて2つの方法があり、それぞれ以下のような処置が行われます。
歯周病は多くの方が悩まされる疾患ですが、セルフケアやメンテナンスによって予防できます。
以下では、歯周病の予防に効果的な方法について紹介します。
歯周病を防ぐには、歯垢を除去することが重要です。
そのため、日常的なセルフケアを意識的に行うことによって、歯垢が付着しないようにすると予防につながります。
歯垢は歯周ポケットにたまりやすいため、歯磨きの際には歯と歯ぐきの間を重点的にケアしましょう。
具体的なポイントとして、境目に対してななめ45度に歯ブラシをあてること、先端が細い超極細毛の歯ブラシを使用することなどがあげられます。
また、就寝中は唾液の分泌が減少して細菌が増殖しやすいため、デンタルリンスでうがいをして細菌が少ない状態にしておくのもおすすめです。
前述の通り、生活習慣が歯周病の原因となるケースもあります。
改善すべきポイントとしては、以下のような点があげられます。
歯周病の予防には、免疫機能の維持が必要不可欠です。
規則正しい生活を心がけ、生活習慣を見直してみましょう。
基本的な予防法は、自宅でのセルフケアと日常的な生活習慣になりますが、どんなに意識的にケアをしても歯垢や歯石をためないのは不可能です。
歯ブラシだけでできるケアには限界があるため、定期的に歯医者に通院してメンテナンスをすることをおすすめします。
最後に、歯周病の症状に関してよくある質問について、歯学的な観点から回答します。
歯周病では、赤みや出血をともなうことから強い痛みが生じると考えている方も多いのですが、実際には初期段階ではほとんどの方が痛みを感じません。
痛みを自覚するようになったころには、歯周病がかなり悪化していると考えられます。
そのため、口臭と出血の2つの観点から歯周病を疑うのが早期発見のポイントです。
昔より口臭が気になるようになった方、食事や歯磨きの際に出血する方は、一度歯医者を受診してみることをおすすめします。
歯周病の初期症状には、主に以下のようなものがあります。
歯周病になると、歯ぐきが赤みがかってはれが出るほか、水分を含んだようにぷっくりと膨れます。
さらに症状が進行すると、赤色から褐色に変色するようになるため、歯ぐきに違和感を感じたら歯周病のサインかもしれません。
歯周病の予防には丁寧な歯磨きが効果的ですが、一度歯周病になったところを歯磨きで治療することはできません。
もちろん進行を防止することはできますが、根本的な解決にはならないため、歯医者を受診するようにしましょう。
歯周病は、発熱の直接的な原因にはなりませんが、歯周病が原因で発症した骨髄炎から発熱につながることはあります。
また、そのほかにも歯周病菌が原因で下性肺炎を発症して発熱するケースなども考えられます。
つまり、歯周病が間接的な原因となって発熱を引き起こすことはあります。
歯周病は、日本人のほとんどがかかっており、誰にでもリスクがある疾患の一つです。
しかし、初期の段階ではわかりやすい自覚症状が現れず、発見が遅れてしまう方が多いのも事実です。
そのため、虫歯と同様、定期的に歯医者で検診を受けることをおすすめします。
歯周病に関する不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。