2023.04.19
歯周病
口臭が気になるとき、原因は歯周病かもしれません。
歯周病とは、細菌によって歯ぐきが炎症を起こしている状態です。
口臭も細菌によって発生するため、歯周病が原因である場合は、歯周病の治療によって口臭をなくすことができます。
この記事では、歯周病によって引き起こされる口臭の特徴、セルフチェックの方法や治し方について解説します。
Contents
歯周病の症状の一つとして、口臭の悪化があります。
しかし、なぜ歯周病になると口臭に影響を与えるのでしょうか。
以下では、歯周病の臭いの原因について解説します。
歯周病になると、歯周病菌が発生させるガスによって口臭が強くなります。
歯周病菌が発生させるガスは揮発性硫黄化合物(VSC)といわれており、主に以下の3種類です。
揮発性硫黄化合物が発生するメカニズムは、以下のとおりです。
歯周病になると、口内で複数のガスが発生して混ざることによって、口臭がきつくなってしまいます。
歯周病の進行によって生じる歯槽膿漏も口臭の原因です。
歯槽膿漏になると歯周ポケットが深くなり、歯周病菌の敵である酵素が届きにくくなるうえ、歯磨きで汚れがとりにくくなることから歯周病菌が活発化しやすくなります。
歯周ポケットとは、歯肉炎の進行により歯と歯ぐきの間にできたスキマであり、ポケットが深くなるほど、清潔に保つことは難しくなります。
活発化した歯周病菌が増えると、口臭の原因となるガスも増え、臭いも強くなります。
口臭がきつくなる原因は、歯周病のほかにも、食べ物による口臭・生理的口臭・全身疾患による口臭などがあります。
そのため、口臭が気になっている方のすべてが歯周病であるわけではありません。
以下では、歯周病による口臭の特徴について解説します。
腐った玉ねぎのようなにおいの原因は「メチルメルカプタン」です。
メチルメルカプタンは毒性が強く、歯周病を進行させる要因の一つと考えられています。
次に、腐った卵のようなにおいの原因は「硫化水素」です。
硫化水素は、歯垢からの発生だけでなく、舌苔にも多くみられます。
舌苔とは、舌の表面に苔のように付着しており、白色や黄褐色にみえる部分です。
舌苔が付着する原因には、以下のようなものがあります。
生ゴミのようなにおいの原因は「ジメチルサルファイド」と考えられています。
ジメチルサルファイドは海苔などにも含まれており、生ゴミほどではなく、軽微な生臭さとして感じる方もいます。
なお、ジメチルサルファイドは消化器系の疾患によっても発生するため、歯周病以外の全身疾患の可能性もあります。
「自分は大丈夫」と感じている方も多いようですが、自身の口臭にはなかなか気付けないものです。
以下では、自分でできるにおいチェックの方法について解説します。
未使用のコップやビニール袋に息を吹き込んだ直後に、においをかいでチェックします。
また、デンタルフロスを使用して鼻に近づけてみる方法もあります。
手を洗って清潔にした状態で、舌の上や歯と歯ぐきの間を指で触り、指先についた唾液のにおいをかいでチェックします。
本来、健康な方の唾液にはほとんどにおいはありません。
もし唾液のにおいがあるようであれば、口臭がきつくなっているかもしれません。
口臭チェッカーでは、視覚的に口臭レベルをチェックできます。
メーカーや機種によって価格は異なりますが、だいたい数千円ほどで購入できます。
ただし、歯科医院や専門機関にあるチェッカーとは異なり、空気中のにおいにも反応してしまう場合があるため、正確なものばかりではありません。
歯周病治療を行っている歯科医院では、細菌検査を受けられます。
細菌検査は、採取した唾液や歯垢に含まれる歯周病菌の量を調べる検査です。
主に2〜6種類の細菌の検出が可能といわれており、細菌検査の結果、歯周病の原因菌が多量に検出された場合は口臭が発生している可能性が高いでしょう。
歯周病による口臭をなくすには、歯周病治療を受けることはもちろん、日頃のケアを徹底することも大切です。
また、現在歯周病になっていない方は、予防に取り組むことで健康な口内環境を維持できます。
以下では、歯周病のにおいの治し方や予防法について解説します。
毎日の歯磨きをしっかりすることは、歯科予防における基本です。
正しい磨き方で最低でも1日2〜3回、可能であれば食事ごとや入眠前の歯磨きをおすすめします。
歯間の汚れは、歯ブラシだけでは落とせないこともあります。
虫歯や歯周病の原因となる細菌は、歯間の歯垢をエサとして増殖します。
歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯間の歯垢除去を行いましょう。
歯周病予防の薬効成分の入った歯磨き粉が入ったものを使用すると、歯周病菌の活動の抑制効果が期待できます。
また、マウスウォッシュにも予防に有効な成分が入ったものが販売されています。
歯磨き後の仕上げ剤として、歯磨きと洗口液をあわせて使用することで、歯周病の予防効果を高められるでしょう。
歯周病予防の基本は自宅でのケアになりますが、自分でできることや市販のケア用品には限界があります。
定期的に歯医者でクリーニングを受けることで、より確実に歯周病の進行を抑制したり、予防したりできます。
クリーニングは定期検診とあわせて受けられるため、3か月に1回ほどを目安に歯医者を受診してください。
日常的にケアをしていたとしても、歯周病の発症を確実に防げるわけではありません。
もし歯周病になってしまったときは、できるだけ早めに治療を受けることが大切です。
歯医者が苦手という方は多いですが、早い段階で治療をすれば痛みを感じることなく治療できます。
歯周病は、日本人のほとんどがかかっており、誰にでもリスクがある疾患の一つです。
しかし、初期の段階ではわかりやすい自覚症状が現れず、発見が遅れてしまう方が多いのも事実です。
そのため、虫歯と同様、定期的に歯医者で検診を受けることをおすすめします。
歯周病に関する不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。