2024.05.05
歯並び・矯正
インビザラインをはじめ、歯列矯正においては抜歯が必要となるケースがあります。
しかし、抜歯をするのは不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、矯正治療をするうえで抜歯をするかどうかは、症例によって異なり、抜歯をせずにインビザラインの治療を受けることも可能です。
この記事では、インビザラインにおいて抜歯をする理由、抜歯が必要となるケースとならないケース、抜歯のメリットとデメリットについて解説します。
Contents
インビザラインとは、透明なマウスピース型の矯正器具を用いて、歯並びや噛み合わせを改善する矯正方法です。
アメリカのアライン・テクノロジー社によって開発された方法で、ほかのマウスピース矯正とは異なり、歯型を3D画像化したデータを活用しつつ、治療を進めます。
マウスピースは、1日20時間以上の装着が求められ、1~2週間程度で新しいマウスピースに交換しながら、すこしずつ歯に力を加えて歯並びを整えます。
インビザラインでは、抜歯矯正もできます。
以前は、インビザラインでは抜歯ができないとされており、抜歯を伴う歯列矯正にはワイヤー矯正で対応することがほとんどでした。
しかし、昨今では、技術の向上によって、インビザラインでも抜歯矯正が可能となりました。
インビザラインで抜歯をおこなう理由には、以下の2つがあります。
インビザラインでは歯を動かしますが、動かすためのスペースがない場合には、スペースを確保しなければいけません。
また、歯が重なっているようなケースでは、歯のバランスを全体的に整える必要があるでしょう。
このような問題を解決し、キレイな歯並びにするために、抜歯がおこなわれます。
インビザラインで抜歯が必要になるケースとして、以下のような症例があげられます。
続いて、それぞれの症例について解説します。
出っ歯の場合には、歯並びを整えるためのスペースがない場合が多いです。
そのため、スペースを確保することを目的として抜歯をします。
抜歯をすれば、インビザラインで歯並びを改善できるでしょう。
受け口とは、上顎よりも下顎が出ている状態のことを指します。
受け口の場合には、そのままインビザラインでの歯並びや噛み合わせの改善が難しいです。
そのため、抜歯をしたうえで、顎間ゴムと呼ばれる上下の噛み合わせを改善するための器具を用いてインビザラインをおこないます。
歯が重なっていたり、ねじれていたりと、歯並びがデコボコしている場合にも、抜歯が必要になる可能性が高いです。
叢生は「歯が大きい」や「顎が小さい」などの理由から、歯の生えるスペースが足りていない場合に起こります。
叢生の場合には、抜歯をしてスペースを確保したうえでインビザラインをおこないます。
抜歯なしでインビザラインができるケースとしては、以下のような症例があげられます。
続いて、それぞれの症例について解説します。
IPRとは、歯と歯の間に隙間を作るために、歯の表面にあるエナメル質をヤスリで削る処置です。
IPRだけでも、歯を動かすのに必要なスペースを確保できるのであれば、抜歯をおこなう必要はないでしょう。
ただし、IPRで削れるのは片側0.3mm程度で、隣の歯と合わせて0.6mm程度の隙間が限界です。
インビザラインでは、歯に力を加えて歯を動かしますが、力のかけ方によっては歯列を横に広げられます。
重度の八重歯や乱杭歯の場合には、抜歯してからインビザラインで治療をおこないますが、歯列を横に広げるだけで対応できるようであれば、抜歯なしでインビザラインをおこないます。
インビザラインには、奥歯を後方に移動できる特徴もあります。
つまり、歯列を後方に拡張することによって、スペースの確保が可能です。
ただし、奥歯を後方に移動するうえで、親知らずの抜歯が必要となるケースもあります。
親知らずは抜歯しても問題ないことが多く、矯正治療での抜歯という扱いにならないことから、奥歯を後方に移動できる場合は抜歯なしの症例とみなされます。
インビザライン矯正で抜歯をするメリットには、以下のようなものがあります。
抜歯と聞くと、痛いイメージがある方もいるでしょう。
しかし、インビザラインで抜歯をすると、対応できる症例が増えるだけでなく、ケアがしやすかったり、矯正期間が短くなったりと、さまざまな面で負担を減らせる可能性があります。
インビザライン矯正で抜歯をする場合には、メリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。
抜歯によって歯が減ることには、痛みや噛む力が弱まるなど、日常生活に影響するようなデメリットもあります。
そのため、信頼できる歯医者で正しい診断を受けることが大切です。
インビザラインで抜歯する場合の治療について、抜歯のタイミングや治療期間、費用などを詳しく解説します。
インビザラインで抜歯を検討する際の参考にしてみてください。
インビザラインで抜歯をする場合、矯正前のタイミングでおこないます。
歯並びの状態によっては、矯正の途中で抜歯することもありますが、矯正前に抜歯をするケースが一般的です。
ただし、抜歯の難易度が高い場合や、インビザラインをおこなう歯科医院が抜歯に対応していない場合には、別の歯科医院の紹介を受けて抜歯をするケースもあります。
インビザラインの治療期間は、部分矯正の場合は約1年未満、全体矯正の場合は約2~2年半です。
ただし、症例によっては、抜歯をすることで治療期間が短くなるケースや、逆に長くなってしまうケースもあります。
インビザラインにかかる費用は、部分矯正では約40万円以上、全体矯正では約80万円以上です。
また、抜歯をする場合には、1本あたり5,000円から1万円ほどの費用がかかります。
インビザラインは原則として保険が適用されないため、治療費が高額になりやすい点に注意しましょう。
最後に、インビザラインの抜歯に関するよくある質問と回答について紹介します。
インビザラインで抜歯した場合、隙間が埋まるまでに1年から1年半ほどかかります。
ただし、隙間が埋まるまでの期間には個人差があるほか、抜歯した箇所や歯の動かし方によっても異なるため、あくまでも目安として考えておきましょう。
最大で上下合わせて4本の歯を抜歯するケースがあります。
複数の歯を抜歯する場合には、一度に抜歯するのは2本までとして、複数回の通院が必要になるケースもあります。
抜歯した直後は、抜歯した部分が目立つこともありますが、時間が経つにつれて目立たたなくなります。
また、インビザラインでは奥歯を抜歯することが多いため、大きく口を開けない限りはほとんど見えないでしょう。
歯並びは顔の印象を大きく左右するため、歯列矯正によって口元を美しくしたいと考える方は多くいます。
また、矯正には歯並びを整えることで日頃のケアが行き届きやすい口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。
しかし、歯列矯正にもワイヤー矯正や裏側矯正をはじめ、さまざまな種類があるうえ、それぞれメリットやデメリット、かかる費用などが異なります。
そのため、歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
当院では、小児から大人まで豊富な矯正治療の実績をもとに、一人ひとりの患者さんに合った治療方法を提案させていただいております。
歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。