2023.10.10
歯並び・矯正
受け口とは、本来口を閉じたときには上の歯が下の歯より前に出るのに対し、下の歯の方が前に出てしまう状態です。
受け口を治すには矯正治療が有効ですが、歯列矯正にもさまざまな手法があることから、どのような方法が自分に向いているのかがわからないという方も多いでしょう。
この記事では、受け口になる原因と矯正治療の方法、子どもと大人の治し方の違いについて解説します。
Contents
受け口になる原因を大きく分けると、遺伝による先天的なものと、成長や習慣などによる後天的なものの2種類があります。
受け口について理解を深めたうえで治療を受けるためにも、受け口の原因を詳しく知っておきましょう。
それでは、それぞれ原因について詳しく解説します。
受け口の先天的原因とは、骨格や歯並びをはじめ、生まれつき受け口になる原因を指します。
先天的に受け口になる原因としては、以下の3つが考えられます。
先天的原因 | 内容 |
骨格性 | 骨格性下顎前突症とも呼ばれる。 骨格が原因で起こり、上あごと下あごの成長に差があるために受け口になる。 |
歯性 | 歯性下顎前突症とも呼ばれる。 歯が原因で起こり、一部の歯が生えなかったり、小さかったりすると、噛み合わせに影響して受け口になる。 |
顔面先天奇形 | 唇から上あごにかけて割れ目がある唇顎口蓋裂という病気により受け口になりやすい。 唇顎口蓋裂は、上あごの成長を弱めてしまうことが影響して、受け口になる。 |
上記の先天的原因は、どれも遺伝的な影響が大きいです。
受け口の後天的原因には、下あごの成長しすぎ、幼少期の習慣や癖などがあげられます。
たとえば、以下のような癖は受け口の後天的原因になる可能性があります。
幼少期に上記の癖があると、上あごや下あごの成長に影響を与え、受け口になりやすくなります。
また、舌の位置も受け口に影響があるといわれてます。
本来、舌は上あごに触れている状態が正しいのですが、習慣や癖の影響で舌が下がり、上あごに触れない位置にあると、下あごが成長しすぎてしまって受け口になる可能性があります。
歯の矯正が大変だからといって、受け口のまま放置するのはおすすめしません。
受け口を矯正せずに放置すると、以下のようなリスクがあります。
続いて、受け口を矯正せずに放置するリスクについて解説します。
まず、受け口は顔の印象に影響することから、コンプレックスになる可能性があります。
下あごが前に出ていると、あごがしゃくれているように見えてしまうため、目立ちやすいでしょう。
受け口は、見た目だけではなく、口内環境にも影響を与えます。
受け口になると、唇を閉じづらくなるため、口の中が乾燥しやすい状態になります。
そして、口が乾燥することにより唾液の分泌量が減り、唾液の抗菌や自浄作用の効果を受けづらくなります。
その結果、口内環境が乱れてしまい、虫歯や歯周病になりやすいです。
受け口は、口周りだけでなく、身体に負担や悪影響を与えることもあります。
噛み合わせは身体のコンディションに深く関係しており、肩こりや頭痛、滑舌や発音への影響なども少なくありません。
また、しっかりと食べものを噛みきれておらず、胃腸に負担がかかることも考えられます。
成長期であれば、受け口への影響がある習慣や癖を直すことで、受け口の予防はできます。
しかし、受け口を自力で治すのは難しいです。
歯並びを整える場合には、適切な加減で力を加え続ける必要がありますが、自分でおこなうのは困難です。
もし、自分で歯に力を加えて動かそうとすると、力が入りすぎてしまい、歯や周りの組織を傷つけてしまうリスクがあります。
受け口を治したい場合には、自力でやろうとせず、歯医者に相談しましょう。
受け口の治し方は、子どもと大人で異なります。
以下では、子どもと大人の受け口の治し方をそれぞれ解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
子どもはあごの骨が成長段階のため、子どもの受け口を治療する際には、骨格の成長を加味した治療がおこなわれます。
子どもの受け口の治療では、マウスピース型の矯正器具や、拡大床と呼ばれる、あごの骨を広げるための装置などを用いることが多いです。
そして、上あごや下あごの成長をコントロールし、上下のあごのバランスを整え、受け口を治していきます。
大人の受け口を治す場合、あごの成長を加味する必要がないため、歯列矯正によって歯並びや嚙み合わせの改善をおこないます。
基本的には、上の歯を前に出し、下の歯を後ろに下げるようかアプローチが多いです。
しかし、受け口の原因があごの骨にある場合には、外科手術を伴う外科矯正となるケースもあります。
受け口の治療方法には、大きく分けると「歯列矯正」と「外科矯正」の2種類の方法があります。
以下では、それぞれの治療方法について解説します。
歯列矯正とは、矯正器具を用いて歯並びや噛み合わせを改善する矯正治療です。
歯列矯正には、以下の2種類があります。
次に、それぞれの矯正方法について解説します。
ワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる矯正器具を歯に装着し、ブラケットにワイヤーを通すことで、歯に力を加えて歯を動かす矯正方法です。
ワイヤー矯正の場合には、歯を動かすスペースをつくるために抜歯をするケースがあります。
マウスピース矯正とは、透明なマウスピース型の矯正器具を装着し、歯に力を加えて歯を動かす矯正方法です。
透明な矯正器具を使うため、矯正器具が目立たない特徴があります。
しかし、軽度な受け口の場合にしか適用できないため、まずは歯医者で相談してみましょう。
外科矯正とは、あごの骨を切る外科手術と歯列矯正によって、歯並びや嚙み合わせを改善する矯正方法です。
矯正治療は基本的に保険適用外ですが、厚生労働省から認められている疾患の場合には、保険適用で外科矯正を受けられます。
最後に、受け口に関するよくある質問と回答についてまとめました。
受け口を治すトレーニングはないと考えてよいでしょう。
受け口の原因は人それぞれであるため、特定のトレーニングで治せるとは限りません。
また、自己流のトレーニングで歯並びが悪くなるリスクもあります。
受け口を治すなら、トレーニングよりも歯医者に相談することをおすすめします。
受け口の矯正には、抜歯が必要となることがあります。
受け口の矯正では、歯を動かすためのスペースを確保しなければなりません。
症状が軽度であれば抜歯をしないこともありますが、受け口の治療では抜歯が必要になることが多いです。
子どものうちに受け口を矯正するべきかどうかは、歯並びやあごの状態によって異なります。
子どものうちの矯正がおすすめなケースとしては、以下のような状態があげられます。
受け口に限らず、矯正治療には失敗のリスクがあります。
とくに、以下のようなケースでは矯正に失敗しやすいため、注意しましょう。
もし、わからないことがあれば、歯医者に相談してもよいでしょう。
歯並びは顔の印象を大きく左右するため、歯列矯正によって口元を美しくしたいと考える方は多くいます。
また、矯正には歯並びを整えることで日頃のケアが行き届きやすい口内環境をつくり、虫歯や歯周病のリスクを軽減する役割もあります。
しかし、歯列矯正にもワイヤー矯正や裏側矯正をはじめ、さまざまな種類があるうえ、それぞれメリットやデメリット、かかる費用などが異なります。
そのため、歯の状態や予算に応じて、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
当院では、小児から大人まで豊富な矯正治療の実績をもとに、一人ひとりの患者さんに合った治療方法を提案させていただいております。
歯列矯正に関して詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。