2024.07.20
予防・ケア
歯の違和感や痛みを感じて歯医者に行くと、すでに虫歯になっていた経験はありませんか。
一度虫歯になると、通院の時間や費用がかかるだけでなく、歯を抜かなければいけないケースもあります。
たとえ治療をしたとしても、虫歯になった歯がもとの健康的な歯に戻ることはないため、虫歯の予防がもっとも重要です。
この記事では、虫歯の原因と予防法、虫歯になりにくい食べ物や習慣について解説します。
Contents
虫歯とは、虫歯の原因となるミュータンス菌が出す酸による「細菌感染症」を指します。
通常は歯のカルシウムが溶けたとしても、唾液のはたらきによって再石灰化され、元の状態に戻ります。
しかし、そのまま歯がもろくなってしまったり、穴が空いてしまったりすると、虫歯と呼ばれる状態になります。
細菌の毒素によって歯ぐきが炎症を起こす歯周病と同様に、重症化するまでは自覚症状が少ないのが特徴です。
健康な歯が虫歯になってしまう背景には、さまざまな原因があります。
なかでも、以下の4つの要素はとくに大きな影響があるといわれています。
質・細菌・糖分の3要素が重なり、時間が経過することで虫歯になる可能性がぐっと高まります。
「虫歯」とひとまとめにされることが多いですが、年代によってその特徴や発症する要因は異なります。
歯の健康状態は年代によって変わるほか、予防の方法も異なるため、まずは年代別の虫歯の特徴を捉えておくことが大切です。
乳歯は1〜3歳までに、永久歯は9〜16歳までに石灰化が完了します。
石灰化していない歯は柔らかく虫歯になりやすいため、より入念な虫歯の予防が求められます。
乳歯が虫歯になる原因は、主に睡眠前の授乳や糖分の入った飲料などです。
また、歯磨きやフッ化物配合歯磨剤の開始時期の遅れも影響するため、早めに取り入れるようにしましょう。
一方、永久歯が虫歯になる原因の代表例は、歯磨き時の磨き残しです。
とくに正しい磨き方を習得できていないと、糖分の摂取量に関係なく、奥歯の溝の部分などに虫歯ができやすくなります。
大人になると、虫歯より歯周病に悩まされる方が増えてきますが、実際には成人の9割以上が虫歯を抱えているといわれています。
子どもの虫歯と同様、磨き残しによる虫歯はもちろん、歯周病の進行によって露出した歯根や、歯の詰め物の内側に虫歯ができるケースなども増加します。
歯周病は歯ぎしりなどの癖やストレスによっても重症化するため、毎日のブラッシングに加え、食生活や生活習慣を整えることも歯の健康を保つうえで重要なポイントです。
虫歯になりやすい食べ物には、主に以下の特徴があります。
それぞれ虫歯になりやすい原因とあわせて、具体的にどのような食品が当てはまるのかについて紹介します。
歯にくっつきやすい食べ物は、歯垢が蓄積する原因となり、歯垢のなかにある菌の酸によって虫歯を発生させてしまいます。
主に以下のような食べものが当てはまります。
糖分は、虫歯を進行させる大きな原因です。
糖分が多いものを避ける必要はありませんが、甘いものを食べたあとは、いつもより入念にブラッシングをして磨き残しがないようにしましょう。
虫歯菌のエサになる「糖分」を多く含む食べものには、以下のようなものがあります。
歯の表面に糖分が残る時間が長いほど、虫歯菌の活動が長く続くことから、虫歯になりやすくなります。
そのため、口の中に長時間残る食べ物は、虫歯になりやすいといえます。
とくに以下のような食べ物は、糖分を含んでいるうえ、口の中に長時間残ることから、虫歯のリスクが高い食べ物です。
食べ物をよく噛むことは、あごが鍛えられるだけでなく、唾液の分泌も促進されるため、歯の健康にはよい行為です。
しかし、硬すぎるものを噛み続けると、歯と歯の噛み合わせを悪化させてしまう可能性があります。
また、あまりにも硬すぎる食べ物は、歯の表面を傷つけて、虫歯を発生させる原因にもなりかねません。
硬すぎる食べ物には、以下のようなものが当てはまります。
酸性の食べ物に含まれている「酸」は、歯に悪影響を及ぼしてしまいます。
代表例として柑橘系のフルーツがありますが、ビタミンCなども豊富に含まれているため、健康の面では有用です。
しかし、柑橘類に含まれている酸は非常に強く、虫歯菌から出る酸と同様に歯を溶かす作用があるため、日常的に摂取している方は注意が必要です。
酸性の食べ物には、以下のようなものが当てはまります。
続いて、虫歯になりにくい食べ物について紹介します。
日常的に虫歯になりにくい食べ物を摂取することは、虫歯の予防にもつながります。
虫歯予防を徹底したい方は、以下の食べ物の摂取を心がけてみましょう。
歯に付着しにくい食べ物は、虫歯になりにくい特徴があります。
ただし、歯にくっつきにくい食べ物には硬いものも多いため、歯やあごの負担にならないようなものを選びましょう。
歯にくっつきにくい食べ物には、以下のようなものが当てはまります。
虫歯菌は糖分をエサにして酸をつくりだすため、糖分が少ない食べ物は酸の発生を抑えられます。
糖分が少ない食べ物には、以下のようなものが当てはまります。
糖分が含まれている食べ物であっても、口のなかに長時間残りにくいものは、虫歯菌の活動時間を抑えられます。
甘い食べ物は、疲れを解消したり、ストレスを軽減したりする作用もあるため、完全に断つ必要はありません。
具体的には、水分が多いスイーツなどがあります。
糖分が少ない食べ物には、以下のようなものが当てはまります。
食物繊維には、唾液の分泌を促進したり、歯の表面の汚れを落としたりする効果があります。
食物繊維が含まれた食べ物をよく噛んで食べることで、唾液を多く分泌して歯垢を取り除けるため、歯の表面が清潔な状態になります。
食物繊維を多く含む食べ物には、以下のようなものが当てはまります。
食べ物を摂取する際、食べ方を意識することによって虫歯の予防が可能です。
以下では、虫歯対策におすすめの食べ方について解説します。
よく噛んで食べることによって、食べ物のカスや細菌を洗い流す唾液の分泌を促進します。
唾液は食べ物の消化や吸収を助けるだけでなく、口内を清潔に維持する自浄作用もあるため、虫歯や歯周病の予防としても有効です。
食事中や食後にこまめな水分補給をすると、口の中が酸性になる時間を減らすことができます。
酸は虫歯の原因となるため、水分を摂取して歯の再石灰化を促しましょう。
食べ物をよく噛む方法でも唾液を分泌させられますが、夜更かしやストレスなどによって唾液の量や質がよくない方もいるため、意識して水分をとって唾液を増やす努力が大切です。
基本的に、口の中は唾液の作用によって、中性の状態に維持されています。
しかし、寝る直前に酸性の食べ物をとってしまうと、長時間にわたって口の中が酸性の状態になってしまいます。
食べ物の酸によって歯の表面のエナメル質が溶かされる症状は「酸蝕症」といわれており、虫歯発生の原因になるだけでなく、知覚過敏や歯の黄ばみなどが生じる可能性もあります。
虫歯を予防するには、日頃の習慣や歯磨きの方法が大きく影響します。
以下では、虫歯を予防する方法について紹介します。
こまめな水分の摂取は、気軽にできる虫歯予防です。
口の中の水分が少なくなると、細菌が繁殖しやすい環境になり、口臭や虫歯の発生リスクが高まります。
水分を摂取することによって自然に口内環境を整えられるため、歯の色素沈着や虫歯などの予防につながります。
歯磨きはほとんどの方が毎日やっていますが、毎回時間をかけて丁寧にやるのはなかなか大変です。
そこで寝る前の歯磨きだけは重点的におこなってみましょう。
就寝中は唾液の分泌量が少なくなるため、口のなかに歯垢が残っていると細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
寝る前の歯磨きは、その日に付着した歯垢をすべて落とすくらいの意気込みで、丁寧にブラッシングするのがおすすめです。
毎日のケアには、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなども使用するとより効果的です。
とくに虫歯になりやすいのは、歯と歯の隙間や歯と歯ぐきの境目です。
いずれも歯ブラシだけでは歯垢を落とすのが困難な場所であり、磨き残しによる虫歯が非常に多くなっています。
自分に合ったフロスやブラシがわからない方は、ぜひ一度歯医者でご相談ください。
フッ素入りの歯磨き粉は、虫歯予防の効果をより高められます。
フッ素は、虫歯の原因となる酸の発生を抑えるだけでなく、再石灰化を促して歯の質を強くする作用があります。
とくに、唾液の量が少ない方や歯根が露出している方は虫歯のリスクが高いため、高濃度フッ素配合の歯磨き粉がおすすめです。
毎日のブラッシング習慣は重要ですが、自分の力だけで口内を清潔に保つのは簡単なことではありません。
丁寧にケアをしていても、いつの間にか歯垢が蓄積されていたり、気づかないうちに虫歯が発生していたりするケースもあります。
そのため、3か月に1回程度は歯医者でメンテナンスをしてもらいましょう。
歯医者では、磨き残しのクリーニングはもちろん、虫歯や歯周病の予防治療なども受けられます。
虫歯は、質・細菌・糖分・時間の4要素が重なることで発生しやすくなります。
自覚症状の少ない虫歯は、気づいたときにはすでに重症化していることも多く、歯を健康に保つには虫歯の予防が非常に重要です。
また、虫歯を予防するにはホームケアだけでは限界があります。
当院では、治療や定期検診の際に、無料でフッ素塗布による予防ケアをさせていただいております。
定期的なメンテナンスや予防治療をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。