2023.04.19
虫歯
前歯の虫歯は、ほかの歯に比べて目立ちやすいだけでなく、飲食の際にもよく使う部分であることから、なんとしても予防したいと考える方も多いのではないでしょうか。
前歯が虫歯にならないようにするには、日々の生活で注意すると同時に、初期虫歯の段階で気付けるようにしておくことがポイントです。
この記事では、前歯が虫歯になった場合の症状や治療方法と流れについて解説します。
Contents
虫歯には、歯が黒く欠けたり、白く濁ったりと、さまざまな症状があります。
これらの症状は、前歯にできる虫歯にも同様に表れ、ほかの歯に虫歯ができる場合よりも目立つため、自分でも発見できる可能性が高いです。
以下では、「軽症」「中等症」「重症」の3つの進行度に分けて、前歯の虫歯について解説します。
前歯の虫歯が軽症の場合には、歯が白く濁る症状が表れます。
歯の表面にはエナメル質と呼ばれる層がありますが、エナメル質が溶けることで歯の表面が白く濁って「脱灰」という状態になります。
ただし、エナメル質は歯の表面にあるため、軽症の場合の虫歯では痛みを感じません。
中等症の虫歯とは、エナメル質の下にある象牙質まで虫歯が進行した状態のことです。
象牙質の下には、歯の神経である歯髄があるため、刺激があるとしみたり、痛みが生じたりします。
また、象牙質はエナメル質よりも柔らかく、象牙質まで虫歯が進行すると、虫歯の進行が速くなる点に注意が必要です。
重症の虫歯とは、虫歯が歯髄まで進行し、歯髄炎になった状態のことです。
歯髄炎になると、歯の神経である歯髄まで虫歯が進行しているため、激しい痛みが生じます。
歯髄炎の状態からさらに進行すると、神経が死んでしまい、根尖性歯周炎という歯の根っこまで炎症が起こった状態になります。
根尖性歯周炎まで進行すると、神経が機能しなくなることから、急に痛みを感じなくなるのが特徴です。
前歯の虫歯の治療には、「保険適用」と「自由診療」の2種類があります。
保険適用の場合には、以下のような方法で治療できます。
続いて、前歯の虫歯でおこなわれる、保険適用の治療方法について解説します。
コンポジットレジンとは、白いプラスチック樹脂でできた素材のことで、虫歯の治療で削った部分や歯の欠けた部分を埋めるために使います。
前歯の虫歯を削った際には、歯と歯の間に隙間ができてしまうため、レジンで隙間を埋める治療が行われます。
レジンは歯によく似た色合いをしており、前歯に詰めてもほとんど目立たない点がメリットです。
また、費用相場は1本あたり1,500〜2,000円ほどと、比較的安く治療ができます。
硬質レジン前装冠とは、金属の冠の表面に白いプラスチックの素材を貼り付けた被せ物です。
金属の冠を使用しているため、コンポジットレジンに比べて強度が高い構造となっています。
ただし、金属アレルギーがある方には使用できないほか、表面のレジンは変色や欠けなどのトラブルが起きやすいデメリットもあります。
費用相場は1本あたり6,000〜10,000円ほどとなっており、コンポジットレジンよりもすこし高額になります。
硬質レジンジャケット冠とは、冠部分に金属を使っていた硬質レジン前装冠とは異なり、冠も表面の素材もプラスチックが使われている被せ物です。
経年劣化による変色や欠けが起きやすい面はありますが、金属アレルギーがある方でも使用できるメリットがあります。
費用相場は1本あたり4,000〜7,000円ほどです。
自由診療の場合には、以下のような方法で治療できます。
続いて、前歯の虫歯でおこなわれる、自由診療の治療方法について解説します。
ダイレクトボンディングとは、ペースト状のセラミック素材を使って、欠けた歯を治療する方法です。
ペースト状の素材を使うため、欠けた部分に合わせて形を整えやすく、セラミックによりリアルな歯の色を再現できるメリットがあります。
費用相場は20,000〜50,000円ほどとなっており、自由診療のなかでは安価な部類です。
セラミックとは、陶材によって作られた白い被せ物です。
自由診療の歯科治療において非常に人気の材質であり、セラミックには以下のようなメリットがあります。
しかし、土台になる歯を大きく削らなければならないほか、強い衝撃を受けると割れるリスクがある点がデメリットです。
また、費用相場は1本あたり80,000〜150,000円ほどと、高額になりやすい治療です。
メタルボンドとは、冠が金属でできており、表面にセラミックが使われた被せ物です。
表面がセラミックでできていることから、仕上がりが自然の歯に近く、金属の冠によって強度を高められる点がメリットです。
一方、金属アレルギーの方には使用できず、冠の金属が透けないようにすると透明感が出しづらいデメリットもあります。
費用相場は1本あたり80,000〜120,000円ほどとなっており、セラミックと同じくらいの治療費がかかります。
ここまで保険診療と自由診療について解説しましたが、次は症状別に前歯の虫歯におすすめの治療方法を紹介します。
「虫歯が大きい場合」と「虫歯が小さい場合」の2パターンに分けて解説しますので、参考にしてください。
虫歯が小さい場合には、レジン充填による治療がおすすめです。
レジン充填は、虫歯の部分だけを削って、削った部分をコンポジットレジンで埋める治療です。
小さな範囲の治療に有効であるため、虫歯があまり進行していないときにはレジン充填による治療がおこなわれます。
虫歯が大きい場合には、クラウンと呼ばれる被せ物による治療がおすすめです。
ある程度、進行した虫歯では削る部分が大きくなるため、虫歯を削ったあとに被せ物をします。
また、虫歯が神経まで進行しているときは、根管治療という神経の治療が必要になることもあります。
前歯の虫歯を治療する際は、以下のような流れで行います。
続いて、それぞれの流れについて詳しく解説します。
はじめに虫歯の進行状態を確認します。
主に、以下のような方法で進行状態を確認することが一般的です。
虫歯の進行状態が確認できたら、結果をもとに治療方法を決定します。
初期虫歯の場合、歯を削ったり、詰め物をしたりせずに、フッ素を塗って経過観察となることもあります。
治療方法によっては、虫歯部分を削る治療が必要となります。
歯の表面にあるエナメル質の虫歯であれば、麻酔を打たずに治療することもありますが、基本的には麻酔を打ってから歯を削ります。
ただし、麻酔を使用するかどうかは医師の裁量による部分もあるので、歯医者の痛みが苦手な方は事前に麻酔を使用してほしいと伝えておくとよいでしょう。
虫歯の部分を削ったあとは、レジン充填やクラウンなどで歯を修復します。
前述のとおり、虫歯が小さい場合にはレジン充填が行われ、虫歯が大きい場合にはクラウンが使用されます。
前歯の虫歯を予防するためには、以下の方法を試してみましょう。
最後に、それぞれの方法について詳しく紹介します。
毎日のセルフケアを怠らないことは、虫歯の予防においてもっとも重要です。
とくに、正しい方法で歯磨きができていると、虫歯の予防につながります。
また、歯ブラシだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどを使って、歯と歯の間の歯垢をしっかり掃除することがおすすめです。
唾液には、細菌や食べかすを洗い流す自浄作用や殺菌作用、虫歯菌によって溶けた歯を修復する作用があります。
そのため、虫歯の予防においては唾液量を増やすことが大切とされており、唾液量を増やすためには水分を摂取することが必要です。
ただし、コーヒーやお茶などに含まれるカフェインは、唾液の分泌を妨げるため、飲み過ぎには注意しましょう。
唾液量を増やすうえでは、食事中によく噛むように心がけることも効果的です。
よく噛むことにより唾液腺が刺激されるため、唾液の分泌量が増えやすくなります。
ストレスがたまると、自律神経のバランスが崩れ、唾液量が減ってしまいます。
緊張したとき、口の中が乾いてしまった経験がある方は多いかもしれませんが、同様にストレスがたまると唾液が分泌されにくくなります。
そのため、日常のなかで適度な運動や趣味の時間を取り入れ、ストレスを軽減することが大切です。
唾液を増やすことが虫歯予防になると聞くと、食べ物を口にすることはよいことのようにも思えますが、お菓子や間食などはあまりおすすめできません。
そもそも虫歯とは、食べ物に含まれる糖をエサにして、虫歯菌が酸を作り出して歯を溶かすことです。
そのため、口の中に食べ物がある状態は、虫歯のリスクを高めてしまいます。
仕事や家事の合間に、ついグミやチョコなどをつまんでしまう方は注意しましょう。
虫歯かもしれないと思いつつ、なかなか歯医者に行けていない方も多いのではないでしょうか。
自覚症状が表れる前に早期発見するのがベストではありますが、歯科を受診する方の多くは痛みが表れていることがほとんどです。
そのため、虫歯に痛みがあっても手遅れということはまったくありません。
痛みが出て間もない時期であれば、それほど進行しておらず、すぐに治療を済ませられるケースがほとんどです。
一方、痛みを放置しておくとどんどん進行してしまい、最悪の場合は抜歯することになってしまいます。
虫歯の治療は、とにかく早い段階で歯科を受診することが大切です。
まずはお気軽にお問い合わせください。